希望の灯をともす映画会に(クリエイトニュース49号より)
2010年に東根に映画館がオープンし、日常的に映画を楽しめる街になった。毎日10本を越える作品が延40回以上も上映され、おかげで映画を見る回数が飛躍的に増え、願ってもない施設の登場であった。クリエイトひがしねでは、それまで大ホールを利用した活動の一部門として、映画、コンサート、演劇などを取り組んできたが、とりあえず映画はお役目終了の分野となっていた。
それが、その映画館とタイアップして昨年実行委員会を組織して取り組んだのが、「ゆめパの時間」の上映会だった。実行委員が手売りで前売券を普及し、みんなで観たい作品をみんなで鑑賞する達成感を味わった。どんな映画にも製作者たちの伝えたいという願いが込められている。その思いを受けとめ共有しながら、さらに多くの観客に伝えて行く、それが実行委員会組織による上映会だ。
今回、わがNPO20周年記念事業として、上映実行委員会を組織し、中村哲医師の軌跡を追った記録映画「砂漠に希望の灯をともす」を上映することになった。この映画は、一昨年全国の映画館で上映された作品で、東根でも上映されている。全国を一巡し、昨年末から実行委員会方式により上映運動が始まった。長野県では前売券の観客とほぼ同数の観客が来場し、記録映画としては驚異的な動員数になりつつあるという。その要因を配給会社の鳥居社長は「コロナ禍・円安・物価高に加えて政治の腐敗と出口の見えない状況の中で、30数年にわたり飢餓に苦しむアフガニスタンで活動してきた中村医師の後姿に共感し、映画会場に向わせているのでは」と考察している。
戦闘機が飛び交う戦火の中、「彼らは殺すために空を飛び、我々は生きるために地面を掘る」と、黙々と井戸を掘り水路を造り続けた後姿に、日本の希望を見ることが出来る。私たちも中村医師から学べるものが見つかれば、記念事業にふさわしい映画会になるのではないだろうか。
広報・地域振興担当理事
村田民雄